今回も院長の小さな旅は、前回に続き上本郷の七不思議から「斬られ地蔵」のお話です。

北松戸の駅か南への道路をまっすぐ上っていくと、坂ノ途中、右手に明治神社があります。最近新しく建築されて豪華になった神社です。その隣に覚蔵院というお寺がありました。覚蔵院は明治の廃仏棄釈で無くなってしまい、地蔵像は本福寺に移されました。
ちなみに正式には「斬られ地蔵」なのですが、碑を建てた住職が間違って「切られ地蔵」と彫ってしまったので、碑の表記は「切られ地蔵」となっています。

切られ地蔵の拡大画像

切られた跡が生々しく残っています・

実際にお地蔵を正面から見てみると、はっきりと刀傷が確認できます。昔その覚蔵院境内で盆踊りがあった時のことです、見知らぬ大男がひときわ見事に踊っていて、娘さんたちがすっかり見とれてしまって、村の男たちは面白く、お酒が入っていたことで、村一番のけんか早い男が刀でその男を斬り付けてしまったそうです。そうしたら不思議なことに火花が散って、大男は悲鳴をあげて暗闇の中に消えてしまったそうです。翌朝に村人が後片付けに訪れると、境内の石地蔵の胸に生々しい刀傷が残っていたそうです。「昨夜の大男はお地蔵様だったのか」「これは大変なことをした」と、みな震え上がり、地にひれ伏してあやまった、という。

そのお地蔵様は今では、本福寺境内に移されています。実際に見てみると、今でも胸に袈裟懸けに刀傷のような跡があります。

本福寺本堂からは、同じお地蔵様を彫った木版が見つかっているそうで、住職さまは「お地蔵様は昔から本福寺にあったのでは」と話しています。